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「改正!民事執行法」のお知らせ
 
改正 民事執行法
改正 民事執行法(1)
平成15年7月25日に、改正担保・執行法(担保物権および民事執行制度の改善のための民事法の一部を改正する法律)が国会で成立した。同法は成立より1年以内に施行される。そこでその改正点について解説する。
「短賃廃止と明け渡し猶予期間」
  本改正法でもっとも注目したいのは、短期賃貸制度の廃止である。これまでは、抵当権設定後に設定された賃貸権でも、建物で3年、土地で5年以内の契約であれば一定の条件のもと(もちろん差し押さえ前であることは言うまでもない)に競売部権の買受人はその期間内に限って賃貸権を引き受けなければならず、この事が依然として占有屋等による執行妨害に濫用される例が後を絶たなかったと指摘されてきた。

「6ヶ月の明け渡し猶予が必要に」
  そこで改正法は保護すべき賃貸人に合理的な範囲で確実に保護を与えるという観点から、現行の短期賃貸権制度は廃止し抵当権に後れる賃貸借は、その期間にかかわらず、競売買受人に対抗することが出来ないとする一方、突然に退去を求められる賃借人を保護するために6ヶ月の明け渡し猶予期間を設ける事にした。

「引渡し命令の有効9ヶ月に」
  もちろん猶予期間内の使用料相当額は請求できる。 もし使用料の支払いがない場合は、買受人の相当のお期間を定めて1ヶ月分以上の支払いを催促し、当該機関内使用料の支払いがない場合は猶予期間の保護は与えられないとされている。
  短賃が廃止されたことにより、賃借人の敷金については買受人は引き受けないことになる。また引渡し命令の有効期間も従来の6ヶ月から9ヶ月に延長された。
  また、抵当権に後れる賃貸借であっても、その設定につき登記がされ、かつその登記前に登記がされたすべての抵当権者が同意をし、その同意について登記がされた時は、競売における買受人に対抗することが出来るという制度も創設された。

「新旧入り交ざりで混乱も」
  改正法は、この施行の際に現存する抵当不動産の短期賃貸借であって、当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例によることとしている。
  したがって、改正法の施行の際に現存する短期賃貸借については、それが改正法の施行後に更新された場合を含め、改正法の施工後も、引き続き現行の短期賃貸借制度が適用される。つまり競売においては新法・旧法が入り交ざり、短賃があったりなかったりと、かなりややこしいこととなるであろう。

「立退き料が多額に?」
  これまでは長短賃の引き受けがなければ、代金納付後すぐに引渡し命令をとることが可能であったが、法改正後は賃借人が占有する物件については、差し押さえ前からの賃貸借であれば6ヶ月を経過しなければ引渡し命令がでないこととなる。
  従来、短賃で期限の定めのないものでも、代金納付後すぐに解約申し入れをし、6ヶ月を経過すれば契約が終了したわけだから(もちろん引き渡し命令はでないにしろ)、改正後は実務家からみれば、「全部が短賃」で単に敷金の引き受けがなくなっただけの感覚になるのである。
  当然半年待つのはいやだから、「金銭で解決」となる。法改正によって明け渡し費用は増額傾向を示すであろう。

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改正 民事執行法(2)
▲ 「内覧制度」 ▲
競売物件の内部が見学可
  改正法では、不動産競売においても、より多くの買受希望者が現れるように、不動産競馬の内覧(買受希望者を不動産に立ち入らせて見学させる手続き)を実施する制度が創設された。対象は買受人に対抗できる賃借権・用益権者を除いて、内覧実施の申し立て(差押債権者が行う)があれば全件行うこととなっている。(長期賃借権のように、買受人に対抗できる占有者の場合でも、占有者の同意があれば実施できる)。
  内覧の手続きは執行官が主催し、内覧参加希望者は執行官に一定の手続きを得て経て内覧の希望を出し、これに基ついて一定の日時に行われることとなる。

占有者は内覧拒否できず
  内覧は、法制審議会では執行官保管の物件を対象とすることで議論が進んでいたが、それだけでは買受人に対する情報提供が不足だということで、結局占有者がある場合でも内覧を実施するということでまとまったものだ。
  内覧は一般的に占有者の同意を必要とせずに実施され、内覧されることについては、占有者は内忍義務を負うものとして、不当拒否については罰金が課せられることになっており、かなり本格的に利用されそうである。

 あとは差し押さえ抵当権者がどれくらい本気で利用するかだ。当然内覧のための費用を裁判所に予納しなければならないであろうし、内覧を実施することで落札価格が跳ね上がりそうだということになれば積極的に活用するであろう。

談合・競売妨害の温床にも
  しかし逆に、占有者の顔が怖そうだからとか、内覧に参加した入札予定者が若い衆を引き連れて黒塗りのベンツでやってきたりとか、内覧に参加したばかりに入札をとりやめる者も出てくるであろう。また、参加者に「金銭を提供するから入札を降りてくれ」など公共事業の入札談合のような状況も考えられる。いずれにしろ、執行官の運用ひとつで内覧制度の是非が問われる状況となりそうだ。

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改正 民事執行法(3)
▲ 一括競売 ▲
「一括競売」
  件外建物も一括競売  現行法では、抵当権設定後にその設定者が抵当地に建物を築造した場合に限り、その建物を土地と一括して競売にかけることを認めている。  ところが、多くのケースは第三者が抵当地に建物を築造したものであり、この場合は土地のみを競売するしかなく、土地の買受人が建物所有者に対する建物し収去土地明渡請求書の負担を負うため、買受希望者が限られ、売却代金も低くなる傾向があった。
  そこで改正法は、抵当権設定後に建物が築造された場合には、第三者が築造した場合にも、その建物所有者が抵当権者に対抗可の権利を有する場合を除き、土地の抵当権者が建物も一括して競売することができることとした。

件外建物は競売妨害の温床
  これまでいわゆる件外建物については、数多くのジレンマを抱えてきた。例えば、競売妨害を目的として、プレハブ事務所や倉庫を簡易に建築したり(いわゆる一夜城といわれるもの)、それに賃借人などがいれば余計にややこしい。  また逆に、築年数が新しすぎて収去するのがもったいないケースもある。築2年の一戸建などが建っていた日には、収去訴訟というのも憚られる。そういう意味では抵当権者にとっては嬉しい制度の新設だ。

嘆くベテラン業者
  しかし、逆にため息をつくのは競売のベテラン業者たちだ。件外建物付の物件は通常入札が少なく、格安で落札し、高収益の源になっていたからだ。  件外建物などは、建物所有者に収去されることを詳細に説明してやれば、その多くは解決できるものである。格安で買い取るか、うまくいけば無償で所有権を放棄(贈与)してくれる。一括競売制度の導入で競売の醍醐味がまたひとつ消えていきそうである。

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改正 民事執行法(4)
▲ 「明け渡し執行、実効性の向上 ▲
明渡しの執行催告が明文化
  明渡しの強制執行を申し立てた場合、すぐに断行を行ってくれるわけではない。いったん催告といって、現地で占有者を特定し強制執行の開始を告げ、それから断行期日を定めるのだ。この断行期日までの間に任意での退去交渉を債務者と進めたり、また目的外動産の量等を事前に見積もることができるわけだ。 この催告はこれまで慣行上行われていたもので、ゆえに執行官によってはやり方が異なったり、催告を何度も繰り返したり、催告から断行までの日数もまちまちであった。それが今回の改正で明文化されたわけ。

催告から断行まで1ヵ月
  改正法では、執行官は不動産の明渡しの強制執行の申立てがあった場合、債務者が不動産を占有しているときは1ヵ月の期間を定めた明渡しの催告をする。明渡しの催告があったときは、引渡期限を執行現場に公示する。  債務者はこのとき占有移転をしてはならないものとする。執行官は引渡日において、債務者以外の者が不動産を占有する場合であっても、その者に対する承継執行文なしに強制執行を行うことができるようになった。

事実上の占有移転禁止効果
  これはまさに画期的だ。これまで引渡命令をとって催告に行っても、断行時に占有者が変わっていた場合は執行不能となり、再度承継執行文を付与してもらってから断行にかかるという、まどろっこしいことしかできなかったのだ。これでは占有屋の餌食、次々に人が入れ替わり、いつまでたっても断行できず、泣く泣く法外な立退料を支払うという事態が目についたものだ。 今回の改正で催告から断行までの間に、事実上の占有移転禁止の効果が与えられたわけだ。またこの時に公示書が剥がされて現地に残っていなくても実行できることとされている。占有屋の1番の武器、占有移転はこれで封印されそうである。

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改正 民事執行法(5)
▲ 「目的外不動産の即時売却 ▲
頻雑な強制執行
  不動産明渡しの強制執行に際して、不動産内にある動産については執行の目的外である。執行時には、まずいったん保管し、動産の所有者がとりに来ないときに初めて売却する手続きとなる。 実際はこれが大変、強制執行時の作業の大半はこれら目的外動産の搬出と保管作業になる。こわれものなんかは取り扱いにも慎重にしなければならないし、さいふ・通帳などの貴重品は別途の保管を要す。また手紙や写真など思い出の品なども同様、ガラクタと思ったらえらい目にあうのだ。

目録も作成
  また目的外動産の目録も作成しなければならない。この量がまた膨大だ。執行官はこの目録に基づいて1品1品評価額を定める。そしてダンボール等に梱包して搬出、トラックに積んで倉庫に運び込む。 保管期間は概ね3週間程度、債務者がとりにくればいいが、こない場合は売却処分となる。しかし中途半端にとりにこられても困る。テレビだけとかアルバムだけとか、一部だけの受領を求める場合だ。大多数の執行官はこれを認めていないようだが、厳密にいえばこの要求には応じざるを得ないらしい。

現地保管で経費削減
  売却処分になる場合も、通常買いに来る者は稀だ。だから多くは債務者が買い受けて廃棄処分とするのが通例だ。この時の買受代金は保管料等と相殺されるので、事実上負担せずに済むことが多い。 強制執行は金がかかるということで、経費削減の奥の手としてこれまで例外として認められていたのが「現地保管」だ。これは、動産の搬出をせずに現地の置いたままで保管を行うやり方だ。しかしこの方法は盗難等の問題もあり、その保管責任の問題から認めない執行官も多い。  また現地保管では保管期間はその不動産の使用ができないわけで、事実上の明け渡しが遅れるというデメリットもある。

即時売却、課題も
  今回の改正では、「執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる」とされ、即時に売却できることとなった。 ただし課題もある。即時売却といっても、目録は作成しなければならない。動産一式というわけにはいかない。机3個・椅子2個などなど。果たして即時に目録を作成できるかがポイントだ。例えば催告時に目録を作っても、その後移動があるであろうし、やはり断行時に即日で作成せざるを得ない。 そうすると実務的には空家の動産残置の状態で、断行までの間に時間をかけて目録を作っていくか、空家でない場合は人数をかけて、やはりダンボールにでも入れて確認しながら目録を作っていかざるを得ないのではないか。

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