「短賃廃止と明け渡し猶予期間」
本改正法でもっとも注目したいのは、短期賃貸制度の廃止である。これまでは、抵当権設定後に設定された賃貸権でも、建物で3年、土地で5年以内の契約であれば一定の条件のもと(もちろん差し押さえ前であることは言うまでもない)に競売部権の買受人はその期間内に限って賃貸権を引き受けなければならず、この事が依然として占有屋等による執行妨害に濫用される例が後を絶たなかったと指摘されてきた。
「6ヶ月の明け渡し猶予が必要に」
そこで改正法は保護すべき賃貸人に合理的な範囲で確実に保護を与えるという観点から、現行の短期賃貸権制度は廃止し抵当権に後れる賃貸借は、その期間にかかわらず、競売買受人に対抗することが出来ないとする一方、突然に退去を求められる賃借人を保護するために6ヶ月の明け渡し猶予期間を設ける事にした。
「引渡し命令の有効9ヶ月に」
もちろん猶予期間内の使用料相当額は請求できる。 もし使用料の支払いがない場合は、買受人の相当のお期間を定めて1ヶ月分以上の支払いを催促し、当該機関内使用料の支払いがない場合は猶予期間の保護は与えられないとされている。
短賃が廃止されたことにより、賃借人の敷金については買受人は引き受けないことになる。また引渡し命令の有効期間も従来の6ヶ月から9ヶ月に延長された。
また、抵当権に後れる賃貸借であっても、その設定につき登記がされ、かつその登記前に登記がされたすべての抵当権者が同意をし、その同意について登記がされた時は、競売における買受人に対抗することが出来るという制度も創設された。
「新旧入り交ざりで混乱も」
改正法は、この施行の際に現存する抵当不動産の短期賃貸借であって、当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例によることとしている。
したがって、改正法の施行の際に現存する短期賃貸借については、それが改正法の施行後に更新された場合を含め、改正法の施工後も、引き続き現行の短期賃貸借制度が適用される。つまり競売においては新法・旧法が入り交ざり、短賃があったりなかったりと、かなりややこしいこととなるであろう。
「立退き料が多額に?」
これまでは長短賃の引き受けがなければ、代金納付後すぐに引渡し命令をとることが可能であったが、法改正後は賃借人が占有する物件については、差し押さえ前からの賃貸借であれば6ヶ月を経過しなければ引渡し命令がでないこととなる。
従来、短賃で期限の定めのないものでも、代金納付後すぐに解約申し入れをし、6ヶ月を経過すれば契約が終了したわけだから(もちろん引き渡し命令はでないにしろ)、改正後は実務家からみれば、「全部が短賃」で単に敷金の引き受けがなくなっただけの感覚になるのである。
当然半年待つのはいやだから、「金銭で解決」となる。法改正によって明け渡し費用は増額傾向を示すであろう。
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